生きがいづくりの活動を 文協の森本新会長

 学問や芸術の分野で多くの足跡を残す人物を輩出している和歌山で、郷土文化の発展と向上を目的に活動する和歌山文化協会。このほど、7代目会長に就任し、初の女性会長を務める森本光子さん(77)に、和歌山の文化振興に寄せる思いを聞いた。

■文化活動との関わりを教えてください

 幼い頃から茶道や書道に親しんできました。家庭に入り40歳を過ぎた頃、10代の頃から茶会に参加していたことや、書の先生の勧めなどもあって和歌山文化協会に入会。18年前からは副会長に就いていました。

 また、現在は茶道の表千家同門会県支部の参与も務めています。旺盛な好奇心も手伝って、お琴を習いましたし、手芸も好きですね。ろうけつ染めや沖縄伝統の紅型(びんがた)染などの染色作品も制作しています。

■和歌山文化協会の主な活動は。課題などはありますか

 協会は1950年に発足し、現在の会員は330人。華道、吟詩、茶道、美術工芸、文芸など八つの部で活動しています。各部で催しを企画する他、協会では「文芸まつり」「総合美術展」「名月に舞う」「観月の夕べ」などを主催しています。

 会員は多い時で600人以上が所属していましたが、減少傾向。年齢層も高く、会員数をもっと増やしたいですね。せっかくこれほどの大所帯の集まり。個々の高い能力や技術を結集させて、どのように生かしていくかが大きな課題です。

■会員数アップへ取り組みは

 各分野で一定以上の評価を受ける方を会員として迎えていますが、若い方に門戸を開く意味でも、青年部のような組織をつくりたいと考えています。敷居の高い集まりではなく、少し緩やかな会があってもいいのではと思うんです。

 もちろん、文化協会としての格式も重要です。ただ、例えば熟練の方とそうでない方の作品が並んだときに、若い方にとっても大きな励みになるはず。育てるということも大切だと思います。私自身も素晴らしい師に恵まれたので、後進を導ければと考えます。

■和歌山では2021年に国民文化祭、全国高校総合文化祭を控えています

 国民文化祭では、私も実行委員会の副会長を務めさせてもらっています。和歌山は身近なところに歴史や文化があり、それを最大限に生かせられれば。普段から文化活動に携わっている人だけでなく、子どもたちや県民の皆さんが楽しめるような工夫が必要だと思います。

 若い世代は特に、仕事や子育てで忙しいと思いますが、芸術や文化活動は心を豊かにしてくれます。最近は県内の高校でも俳句などの文芸活動が盛んだと聞きますが、若い世代が興味や関心を持ってくれることはうれしいことです。

■日本人の文化意識についての考えは

 外国人の方が日本の歴史や文化をよく知っているというのは、日本人として恥ずかしい。もっと伝統の文化や芸術にふれてほしいと願います。高校の茶道部の指導にも出向いていますが、生徒さんに「何のために茶道をするの?」とよく聞くんです。せっかくお茶をしているのだから、心配りや思いやり、礼儀作法を身に付けてもらいたいと思います。それは、日本人の心といった部分に通じるかもしれません。

 何か大きなことをするには運営費も必要。行政も気を配ってくれてはいますが、最近は文化的な行事に予算を割いてもらえないのが現状です。ぜひ私たちと一緒になって考えていただければうれしいですね。

■和歌山文化協会として、今後の意気込みを

 時はまさに「人生100年時代」。文化協会の活動が、多くの方の生きがいづくりにつながればうれしいです。私自身、大変なことも「まぁ何とかやろかよ」という性格。皆さんに会長に選んでいただいたことに感謝しながら、頼まれたことは精いっぱいやり通したいですね。「和歌山文化協会に入れば元気になる」をモットーに、〝森本流〟で、会員の皆さんに知恵をいただきながら、魅力ある協会をつくっていきたいです。

郷土の文化振興への思いを語る森本会長

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