海南駅にジャンボ漆器2点 伝統工芸をPR

紀州漆器協同組合青年部(中西拓士部長)がJR海南駅に駅名の看板とジャンボ丸盆を寄贈した。和歌山県海南市の伝統工芸を市の玄関口で見てもらい、広く知ってもらおうと企画し、駅利用者は足を止めて塗りや蒔絵の美しさに見入っている。

紀州漆器は400年以上の伝統があり、江戸時代には庶民の日用品として使われ、産地の黒江地区は栄えた。しかし、制作に手間がかかることや、戦後の高度経済成長期の頃からプラスチック製の家庭用品が主流となったことなどから職人の数が減少し、技術の継承が課題となっている。

同青年部は20~40代の職人15人ほどが参加し、2016年から、伝統継承の取り組みの一つとして年に数点のジャンボ漆器を制作しており、今回の寄贈もその一環で行った。

ジャンボ丸盆は直径約2㍍、徳川吉宗像が描かれている。1995年に制作され、海南市民交流センター(下津町)に保管されていたが、今回の取り組みで改めて磨きをかけ、欠けのみられる箇所を補修し、再び日の目を見た。

駅名看板は2008年に寄贈された作品に続き二作目。前回は黒地に金文字だったが、今回は朱色の根来塗に黒い文字、四隅に根来塗特有の味わいとされる“かすれ”を施して仕上げた。

中西部長(41)は寄贈した2点を「伝統技術を結集させた代表的な作品」と話し、「塗り物というと輪島、山中塗を挙げる人も多いが、紀州漆器を改めてブランディングし、産地の海南市の知名度を高めていきたい」と力を込めた。

ジャンボ丸盆の前で青年部メンバー

ジャンボ丸盆の前で青年部メンバー