新宮ゆかりの徐福 劇団KCMがミュージカル

 海南市を中心に活動する劇団KCM(東道代表)は、新宮市に渡来したとの伝承がある中国の徐福を題材にしたミュージカルを10日、海南市下津町の市民交流センターで公演する。万葉歌碑のある黒江地区周辺のウオーキングイベントと同日開催で、日本文化が中国から伝来したことを体験的に学び、世界平和の尊さを再認識する。

 徐福は中国の歴史書『史記』に、紀元前220年ごろ、不老不死の薬を求める秦の始皇帝の命を受け、約3000人の若者を連れて航海に出たことが記されている。嵐に遭い漂着した土地については諸説あるが、黒潮に乗り南紀の熊野川河口に到着したのではないかとの説が有力。現在新宮市には、初代紀州藩主の徳川頼宣公が建てた墓がある。 

 ミュージカルは、東代表が脚本と演出を手掛け、薬草に精通し温厚で闊達(かったつ)な徐福の人物像と、土地の女王丹敷戸畔(にしきとべ)との出会いをドラマチックに描いている。

 劇団員約30人は史実に基づいて創作された、豊かな自然の中で繰り広げられる壮大な歴史ロマンを巧みに演じて好評を博した9月の新宮公演に続き、今回も力を入れている。

 東さんは約10年前から芝居のテーマとして徐福に興味を抱き、脚本はわずか2週間で書き上げたといい「役者もうまくなり、完成度も高いと感じています」と笑顔。振り付けと構成を担当したRi‐yaさんは「少し難しく感じられる歴史を舞台で楽しんでもらえたらうれしいです」と多くの来場を呼び掛けている。

 イベント「2019熊野古道・万葉ウォークと公演」は県文化振興事業補助事業で行われる。

 ウオークの参加希望者はJR紀三井寺駅東口に午前8時半集合。万葉集ゆかりの地を巡り、JR海南駅からは電車を利用。海南市民交流センターで午後2時半からミュージカルを鑑賞する。

 ウオークの参加費は500円、ミュージカルのチケットは当日2000円(前売り1500円)、学生は1000円。問い合わせは東さん(℡090・2062・7778)。

「ぜひ会場へ」と劇団KCMのメンバー