知事「大変遺憾」 国がIR申請期間延期
カジノを含む統合型リゾート(IR)の整備に向け、誘致を希望する自治体からの整備計画の申請期間を政府が延期する方針を示したことを受け、仁坂吉伸知事は9日、「大変遺憾で不満だが、変えられた内容、期限に沿ってやるしかない」と述べ、引き続き準備を進める考えを示した。
政府は当初、IR整備の基本方針をことし1月までに正式決定する予定だったが、先送りが続いている。観光庁は9日、昨年発表した基本方針案に、新型コロナウイルスの影響を踏まえた感染症対策や、秋元司衆議院議員が逮捕・起訴されたIR汚職事件を踏まえたIR事業者と公務員の接触ルールなどを盛り込み、整備計画の申請期間を当初の「2021年1月4日~7月30日」から「21年10月1日~22年4月28日」に9カ月延期する修正案を示し、パブリックコメントを開始した。
和歌山県のIR事業者公募には、カナダのクレアベスト・グループ、マカオを本拠地とするサンシティグループの日本法人(いずれも拠点は東京都)の2社が応募し、県は提案審査書類の提出期限を今月19日としていたが、今回の観光庁の方針を受けて延期を決め、新たな期限は国の動向を踏まえて後日発表する。
仁坂知事は報道陣の取材に、スケジュールの延期はないと何度も国に確認をとっていたこと、新型コロナの影響は早い段階で分かっていたことなどを挙げ、「国は約束したことはちゃんとやってもらいたい」「(延期について)もっと早く動いてほしかったという思いはある」と苦言を呈した。
誘致予定地の和歌山マリーナシティがある和歌山市の尾花正啓市長は「遅れていたIR事業がようやく動き出したという面で評価できる。市にとって最善の計画となるよう、今後も県と連携を密にしながら取り組んでいく」とのコメントとを発表した。